過ぎし日と来たる日

ル・ピュイの道や日々のあれこれ

Day 4

2022/8/14

4日目

Les Estrets(Gîte le Saint-Pas) ~ Les Quatre Chemins(Gîte Aux Quatre Vents)  : 19.1km

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ル・ピュイの道のことを紹介したいと思っているのにこんなことを言うのは本末転倒なのですが、私には一方でどこか紹介したくない気持ちもあります。というのも、これを読んだ方が仮に同じ道を歩くとして、必要以上に情報を得てしまうとやはり未来に対して先回りして、何かが起こる可能性をはらむ緊張感が失われてしまうのではないか。それは良いことでもトラブルでも、その人独自の楽しみを奪ってしまうのではないかと思うからです。

 

もちろん、楽しみ方は人それぞれですし、事前に知っておくべきことも多々あるでしょう。私自身、なにか感動とかを求めていたわけでもありませんし、苦行のような経験をしたかったわけでもありません。ただ歩いてみたかったから歩いたというだけです。結果的に、ガイドブックも持ち歩いていなかったのでわからないことが多すぎて苦しかったのは確かです。ただ、そのおかげで図らずも想像以上に満足する旅になりました。苦しさと楽しさが単純に反比例するとは思えませんが、知りすぎることで個人の感性が失われるのはとても残念なことです。

これは忠告ではなくて、私のスタンスをはっきりさせた方が最終的によいと思ったのでそうしました🙂杞憂に終わることを願います。

長々と失礼しました🙇

 

例によって朝食は7時ということになっていたので、それまでに起きて身支度を済ませます🎒朝の準備は人それぞれ。私のようにストレッチをする人もいれば、ヨガをやっている人もいます🧘‍♀️

今日はデイパックで歩きます。気力が少し回復してくれることを祈りつつ🙏8時前にちょうど雨が治ったのでラッキーです。

では出発🐾

どんより☁️

…いつ降ってきてもおかしくない😐レインウェアは持っているので雨が降ってきても問題はありませんが。とりあえず、暑さは落ち着きそうですね。

Les Estrets

小さい橋を渡って集落を出ると、土の道を登っていきます。泥道ではないので靴にくっ付かなくてよかった😌登り切ってからまた降りるとビゴーズ(Bigose)という別の集落を通ります。

登り道

Bigose

お、牛さんの肖像画が😀どういう意図があるのでしょう?と考えていると、まわり牛さんだらけです💦放牧されているようですね。

🐂

🐂

彼らはかのオーブラック牛でしょうか🍴

日本を立つ前からグルメのチェックリストにいれていたのがバレたのか、なにやらうらめしそうに見つめているような…😅

そそくさと通過していきます。

道の両側からときおりカランカランと聞こえます。そこら中に牛さんがいるんですね。

 

今日の道は歩きやすいです。幅も広いし、アップダウンもそこまでありません。軽めに歩くにはちょうどよさそうです👍

放牧地を抜け、畑のそばを歩いていると急に激しくカミナリが鳴り始めました⚡️ヤな予感がしたので少し脇道にそれたところにある農家のガレージにダッシュ🏃🌀中には農家のおじさんが2人いましたが、身振り手振りで事情を伝えようとしたところ、タイムリーで豪雨😱

ちゃんと伝わったようです。それにしても危機一髪でした。リュックが重かったら間に合わなかったかも😰

 

15分くらいそこで待機して、小雨くらいに落ち着いてからレインウェアを着て出発しました。おじさんたち、ありがとう😊

道が滝のようになってしまっているところが何ヶ所かありましたが、防水シューズなのでうまいこと避けて濡れずに済みました。そのまま道なりに下っていくと、オーモン・オーブラック(Aumont-Aubrac)の町に入っていきます。

町の入口

ホタテをあしらった門も

ここまで8km。だいたい2時間かからないくらいでしょうか。町の中心部の方へ歩いていきます。

Aumont-Aubrac

ちょっと晴れてきました☀️

もっと大きい町かなと思っていたけど、ぱっと見そこまででもないかも。ソーギュくらいかな。

町役場メリー(Mairie)の向かいカフェでローラが手を振っています👋せっかくなので休憩☕️お😀彼女が飲んでいるのはオランジーナですねー🍹

巡礼者は巡礼手帳(クレデンシャル)にスタンプを押してもらう必要があります。主な宿(Gîte、Chambre d'Hote、Hôtel)はもちろん、観光案内所、そして先ほどのメリー、つまり役場でも押してもらうことができます。あとはバーとかもあるかもしれない。これは身分証明みたいなものなので、持っていないと泊まれない可能性も。少なくともスペインはそうですね。

手書きもあるよ📝

他の人と見せ合うと、けっこうGîteの批評会みたいになります😄同じ所に泊まってたりすると、あそこは良かったよねーとか。農家の宿に泊まったりすると、話題に事欠かないかもしれません。

 

ローラとは落ち着いて話せるので気がラクです☺️しかし、彼女はここオーモン・オーブラックが今回のゴールでもう終わりだそうです。後から出発したジュリアンを待って、バスで車を停めているル・ピュイまで戻る予定とのこと。その後はプール付きのChambre d'Hoteを予約しているらしく、少しウキウキな感じです😄

彼女はパリのリュクサンブール公園の近くの生まれで、今はベルギーのブリュッセルに住んでいます。おじいさんがベトナム人で、向こうの家に行ったときの写真なんかも見せてくれました。ジュリアンとはパリにいた頃の友達だそうです。

ブリュッセルにてローラと

30分くらいしたらジュリアンが来ました。けっこう濡れている😳まさかと思ったら、あの突然の豪雨にあたったそうです😅散々文句を言っていますが、どこか楽しそうです。

昨夜の食事でジュリアンは横に座っていたのでお喋りもしました。若い人もいたので、フランスの「とんち」の話で盛り上がっていたようですが、もちろん私はわかりません😇ジュリアンは一見けっこうコワモテな感じですが、少し天然らしく、皆さんからおちょくられていましたね。

彼は現在南仏のニーム(Nîmes)という町に住んでいて、旧友のローラと歩きにきています。パリは大きすぎてもう住めないし、住みたくもないと言っていました。ローラ同様、穏やかな人で話していて安心できます。

ジュリアンと

人の話を聞いたり自分も話したりするのはおもしろいですね☺️あっという間に時間が経ってしまいます。結局、カフェで2時間。出発するときにはもうお昼になっていました。まあ、今日はキョリも短いし、早く着きすぎてしまったらどうしようかと思案していたのでちょうど良かったです。サンタルバンで別れた女性2人組にもまた会えましたし🤗

この旅の後、ブリュッセルにも立ち寄る予定だったので、時間と都合が合えばローラに会いたいと思いました。見知らぬ土地で心細くしているときに話しかけてくれるのは、それだけでとてもありがたいのです😢

ローラからも旅の進捗を教えてと言われたので、連絡先を交換しました。

 

さて、名残惜しいですが出発です。

まわりの席の人も日本語で「がんばって」と言ってくれる人もいました😢空はまた曇っていますが、気持ちはスッキリしています。

町外れまで行くと線路があります。ここも国鉄が止まる駅がある町です。トンネルをくぐってまた放牧地っぽいところを歩きます。

線路を越えて

開放感があります😀

目立つものがあるわけではありませんが、広々として歩いていて気持ちがいいです。天気もまた回復してきました🎵

1時間ほど歩いてラ・シャーズ・ド・ペール(La Chaze-de-Peyre)という集落にたどり着きます。

La Chaze-de-Peyre

教会のそばに公衆トイレと蛇口があったので少し休憩💧陽が出てきたのでモワッとして蒸し暑い♨️💦

フランスの教会は尖塔が特徴的

集落は小さいですが、新しい家と古い家が共存して、お子さんのいる若い家族が軒先で遊んでいます。微笑ましいですね☺️それにしても、どこのお家も石造りが美しい。

勝手に撮ってスミマセン

 

集落を後にします。今日は残りあと5km強です。

🪻も大地の色に映えます

 

次のラスブロ(Lasbros)という集落に向かう道路の分岐に小さな礼拝堂があります。

Chapelle dite de Bastide

内壁がヒスイ色をしていた気がします。非常に古い礼拝堂のようです。道路の真ん中なのに残しているなんて、この場所を大事にしているんですね。

 

ラスブロまでは道路に沿って歩きます。ほどなくして到着🙂

Lasbros

ここも小さい集落です。宿場町のように、歩いてきた道路の両側に民家が立ち並んでいます。やっぱり石造りの家々がきれいですねー😍

時刻は13時半です。なにか食べたかったけど、なにもないのでそのままスルー。一応レストランっぽいのもありましたが閉まっていました。なんとなくまた雲行きが怪しくなってきたような…😕

 

集落を抜けた後は道路から逸れて、林の中を歩きます。少しアップダウンがありますが問題ナシ。コンクリートの道より歩きやすいです。途中、ピクニックをしているハイカーをちらほら見かけました🧺🥪オーモン・オーブラックで用意しとけばよかった。ソシソンを切って食べている方も多いですね。

とりあえずそのまま歩いていると、突然、冷たい強風が吹いてきました😨午前のカミナリじゃないけどヤバい気がしたのでレインウェアを一応出すと、やはりと言うかなんというか、暴風雨に早変わり🌧️前も見えない程の雨風ですが、まわりに木が林立していたのがまだ救いです。また、幸いなことに宿ももうすぐそこで、ずぶ濡れになる前に避難できました。

14時過ぎ、今日の目的地ル・カトル・シュマン(Les Quatre Chemins)に到着です。実は前日の目的地がここでした😅この宿Gîte aux Quatre Ventsともう1軒あるのですが、その別の方を予約していたのです。我ながら、大変馬鹿げた計画を立てたものだと反省しました😣ちなみに、この日はそのもう1軒の方がお休みだったので、こちらになりました。

 

宿に入るとオーナーのジャン・マルクに出迎えられ、荷物置き場の部屋に案内されます。すでに配送を頼んでいたバックパックは届いていました。今日は天気が酷かったので、頼んでラッキーでした✌️他にも見覚えのあるリュックがいくつかあったので、また同じ宿に泊まる人がいますね😀

荷物を整理して必要なものだけ取り出すと部屋へ案内されました。今日は4人部屋です。と、私の名を呼ぶ人が🤨見覚えのある年配の男性…。昨日、サンタルバンの手前で話しかけてくれたディディエです👨‍🦳

彼はサンタルバンから来たらしいのですが、出発が早かったのと、歩くのも早いので、余裕で着いたそうです。そうやって部屋で談笑しているとまたひとり知った顔が入ってきました。ドイツ人のアンディーです。彼は土砂降りをまともに喰らって酷い目に遭ったため、かなり疲れた様子です😨しかも、ここまでの道のせいで足のウラがボロボロになっていました😱

 

風は強いままですがまた天気になったので、洗濯物を外に干します。今更ですが、洗濯は基本手洗いです。私は身体を洗う固形石鹸を洗濯用にも併用していました。というか、みんなそうやってると思います🧼🤲

 

夕食まで時間があるのでまたおしゃべりです。アンディーと話していたら、日本の原発の話になりました。率直に、大した議論になっていないこと。もう皆忘れかけていること。あからさまに反対すると、周りからスルーされ孤立することなどを言ったら一言「クレイジー」と言いました。

周知のように、ドイツは福島のことを受け、原発を廃止する方針に変えました。もちろん、他国のことですから内情はわかりません。ただ、非常に羨ましく思ったものです。

今回アンディーの話を聞いて、ドイツでは人びとの間でそのような問題を話すのが普通なこと。他国の惨状から自分たちはどうすべきか判断するために、知性に信を置いていることを感じ取れます。しかも、当事者である私たちが日常で忘れかけている問題を、別の国の彼が自分の問題として忘れずにいるのです。ああ、自分とはなんという差だろう。彼の姿勢から学ぶべきことは自分の不甲斐なさかもしれません。

 

夕食のときに一同顔を合わせると、昨日一緒だった人の他に、2日目で一緒だった人もいて、前より会話が弾みました。ほとんどの人は途中のコンクやカオールまでで今回は終わりにするそうで、がんばってと励ましてくれます😢

ここの料理もおいしかったです😋夕食時、オーナーのジャン・マルクは帰ってしまうので、共同運営者で料理担当のマリーが来てくれます。料理はクスクス、キャロットラペ、豚肉のソテー、パンとワインでした。キャロットラペはニンジンを千切りにしたマリネみたいなやつで、甘酸っぱいですね。あと、ビーツのサラダも定番で大好きでした❤️2色付きのGîteに泊まる限り、栄養の心配は全くありません😙

マリーはここに来るハイカーたちとの会話を楽しんでいる様子で、見ていてその感性が羨ましかったですねー☺️

 

さて、長くなってしまいました。夜も更け、皆明日に向けて準備します。

本当に、どこで誰と何を話すのかがどれほど貴重なことか、身に沁みました。ローラもジュリアンもアンディーも、その他の人にも感謝しています。

部屋から